「娘は誰にもやらん」製作日記

「娘は誰にもやらん」製作日記

ゲームマーケット2012春に出店した初作成のカードゲーム「娘は誰にもやらん」は、どのようにして作られたのか?
これから自作カードゲームなんかを作ろうかと思っている人に向けて、せっかくなので自分のたどった道筋を書いてみます(自分のための備忘録的な意味合いもある)

自分は学生時代からTRPGをメインにやってきて、ボードゲームやカードゲームにも興味はあったのですが、いかんせん貧乏学生が買うには結構な値段がするため、なかなか手が出せなかった。
社会人になって自分で使えるお金も増え、一人暮らしを始めるようになってから、念願のボードゲームを買い集めるようになりました。

ゲームマーケットに参加したり、実際に作っている人の話を聞いたりしていると、やっぱり自分でも作ってみたいと気になり、とりあえず見切り発車でゲームマーケットに応募(^_^;)
まずは初めてのアナログゲーム作成という事もあり、ボードゲームよりカードゲームの方が作りやすいだろう、という事でカードゲーム作成に決定。

カードゲームなら、家庭用プリンタで名刺を作るA4用紙があるので、それを買って作ればいいや~と思ってamazonで探してみる。

エーワン クリアエッジIJP専用白無地厚口両面10 51811

A4用紙10枚(一枚で名刺が10枚)で500円。名刺が100枚作れるのでカード1枚5円か~。
「娘は誰にもやらん」は1セット61枚あるため、用紙だけで305円。300円って告知しちゃったし、原価割れが流石にまずいよな~と却下。

次にA4用紙の厚紙を買って、自分でカッターで切れば良いか。という事で、これを試してみる。

KOKUYO カラーレーザー&カラーコピー用紙(厚紙用紙) A4 100枚 LBP-F31

これなら、A4用紙1枚で7円程度。カード一枚0.7円で作れる!
カード61枚でも、50円しない計算!これなら低価格が実現できる!

試作品を作ってみると、角が手にあたって痛いので、「角丸カッター」なる物の存在を知り、amazonで見つけたは良いが…。

商品価格が690円で、送料が580円って!
ほぼ二倍やん!買えるか!って感じですな…。
幸い、渋谷の東急ハンズで同じ商品が売っていたので、無事GET!

プリンタ用インクカートリッジも、ヒューレット・パッカード HP178XL 5色セット
価格: ¥ 388
OFF: ¥ 10,238 (96%オフ)
という素敵な価格のお陰で、2セット程使っても、全然大丈夫(^_^)/

ただし純正インクカートリッジを使わなかったせいで、プリンタトラブルが起こった可能性も高し(^_^;)

amazonの宣伝はこれくらいにして(笑)、実際のゲームデザインについて

最初のタイトルは「こん☆かつ」
妙齢の女性になって、いい男をGETして幸せになる!みたいな感じだったかな?

男カードと娘カードは、この時点で存在していて、男カードを手札に5枚程度持って、お互いに結婚を申し込み合うルール。
カイジのEカードみたいに、何番目の男カードで結婚するか?
一度結婚すると、離婚の可能性があり(サイコロで1の目が出たら離婚)、いい男だからと言って、早すぎる結婚は不幸になる。
最後の方になると、ロクな男がいなかったり…。
イラストを描いてくれた嫁曰く、「作った人の性格の悪さが伺える」との事(^_^;)

ルールとしては成立しているけど、ゲームとして面白くないって感じだったので、もっとバカゲー的な感じにしようと思い「どうしたらいいかな~」と思っていたら、ジョジョネタの「だが、断る」が閃いた。
その時…!圧倒的閃きっ…!!
「この私が最も好きな事のひとつは、自分でイケてると思ってるやつに「NO」と断ってやる事だ」

という事で父親になって、娘の「紹介したい人が…。」みたいなシチュエーションで、ひたすら断るというゲームになりましたw
マルチゲームで断るのが前提になるってのも珍しいかな?という点でも、このアイディアは気に入って採用!

タイトルも、以下のような感じで変化していきました。
結婚
→こん☆かつ
→→親父
→→→箱入り娘
→→→→娘が家に彼氏連れてきた
→→→→→親父~娘は誰にもやらん~
→→→→→→娘は誰にもやらん
やっぱり、シンプルで分かりやすいのが一番という事で「娘は誰にもやらん」に決定しました。
キャッチー&ゲーム内容が分かる良いタイトルだね、と褒められる事が多かったので正解だったと思います。

また、「娘の隠し属性」というアイディアも、この時点で思いつきました。
「何?お父さん、そんな事聞いてないぞ!」という奴ですね(苦笑)
娘の事は愛しているんだけど、娘の趣味は理解できない。と言うお約束のパターン。

この状態でテストプレイをしてみると、手番プレイヤーと結婚を申し込まれた娘のプレイヤー以外は、結構ヒマで携帯電話をチェックしていたりした事もありました(いわゆるダウンタイムが長い)
どうしたら、暇なプレイヤーが発生しないかな?と考えてみた結果、他人の結婚に干渉できる「男の黒い噂カード」のアイディアを思いつきました。
最初は、プラスの効果も考えていたのですが(健康とか料理上手とか)、「他人の不幸は蜜の味」ではないですけど、みんなで「この男は何々なんだよ〜」と貶めるのが非常に盛り上がったので「男の黒い噂カード」となりました(笑)
(この時、ドイツゲーム@Shibuyaでプレイしたテレストレーションでダウンタイムが全く無い事に、衝撃を受けたのも影響しています)

「成婚カード」も、テストプレイをしてくれた人が「男カードを出して結婚を成立させたのに、何もメリットが無いのは悲しい」という意見から出来ました。
最初は「結納カード」と言う名前にしようかと思ったのですが、よく考えたら逆でした(^_^;)

なんか、こうやって振り返ると「否定」とか「他人の不幸は蜜の味」とか、ネガティブなアイディアが多いな(苦笑)

イラストについては、最初は自分で描こうかと思っていたのですが、ほとんど描いた事がないので、なかなか上手く描けない〜と嫁にもらしたら、イラスト好きな嫁が頑張って描いてくれました\(^o^)/
最初の設計では「男カード」が5点から100点の5点刻みで、20種類あったのですが、20人も男を描きたくない!という嫁の意見により10種類に変更w
テストプレイヤーから「この点数って男の年収にしたら?点数×10万位で(笑)」という意見もありましたが、ちょっと生々すぎるという事で却下(^_^;)
「男の黒い噂カード」でも、「新興宗教に入信」とか「身内にヤクザ」とか、わりと笑えないアイディアも出ていましたw

プリンタで印刷するのに必要だったA4厚紙の枚数は、30セットで
娘カード18枚
成婚カード5枚
男カード60枚
男の黒い噂カード60枚
娘の隠し属性カード30枚
と、合計でA4厚紙183枚と言う、なかなかに厳しい数字になり、ゲームマーケット前日と前々日は修羅場モードで頑張りました〜。

特に純正インクカートリッジでは無かったためか、途中からベタ塗りがちゃんとできなくなり
さらにスジスジな感じで、印刷がまともに出てこなくなったので、実際には1.5倍くらいの枚数を印刷しています
(100枚×4セット買ったが、3セット使い切りました。)
そのため、3ロットぐらいバージョンに違いがあります。特に裏のベタ塗りが無くなったために、表の内容が透けて見えてしまうという悲劇が!
ゲームマーケット前日なので、泣く泣く30セットを仕上げる方向で…。白地に文字が書いてあるセットに当たった人はm(。≧Д≦。)mスマーン!!
これから自作カードゲームを作ろうという人は、家庭用インクジェットプリンタで大量印刷は避けておいた方が無難ですよ〜。
カッター地獄というオマケもついてきますしね(笑)

最後は収支計算を出してみましょう。

ゲームマーケット出展料 4200円
紙代 3000円
インクカードリッジ代 1000円
イーゼル・コイン入れ・パス入れ・チャック付きビニール袋・コルクボード×5 1000円
合計で9200円

売上は、31セット×300円で9300円だったので、ほぼトントンって所かな?
人件費や交通費は、当然入れていませんw

頒布価格については、一度ドロッセルマイヤーズの店長さんに相談してみた所、最低でも材料費と出展料ぐらいはまかなえる位にした方がいい。
それ以上は、自分なら幾らで買うか?という視点で値段設定すればいいよ。と教えてもらいました。(無料は絶対に止めたほうがいい、意味もなく持っていかれるから、というアドバイスも受けました)

まあ、頒布価格と言っている以上、最低ラインでもいいかな~。と思い300円に決定。
購入できなかった人の意見だと、1000円でも全然問題ない位ちゃんと作ってあるんだから、印刷所に頼んで100セット位作ってよ~との事(^_^;)
再販を望む声もかなりあったので、出来れば秋のゲームマーケットには印刷所に頼んで再販したいものです。
そうするとコルクのカード立てをどうするか…。まあ、完全に裏側にしておいて最後にオープンという裏ドラ的な感じでも良いかな?